男子に名前を呼ばれたのは
門脇先輩が私を呼ぶよう頼んだからだったらしい。
恐る恐る先輩の下へ行く。
怒られるのかな。
そう思って
ばつが悪いまま教室を出ると
「ああ、小坂さん」
いつも通り優しい表情の先輩がいた。
「えっと……」
何の用ですか、
そう言おうとして感じ悪いかなと思って口を噤んだ。
「部活にしばらく来てなかったから
どうしたのかなって思って会いに来たんだ」
私に会いに来てくれた?
胸が高鳴って、でもその虚しさで苦しくなる。
「クラスの手伝いしてましたっ」
今は先輩の優しさが辛いよ。
悲しいのをごまかすために
つんけんな態度をとってしまう。
「あ、うん、そうか。
でもそろそろ部活に来てもらわないと……」
『部活』に行くと
また2人の仲良い姿を見なくちゃいけない。
「でもまだ展示内容決まってないんですよね?
もう間に合わないんじゃないですか?」
ああ、もう、私感じ悪い。