――「……杏莉、今日も部活行かないの?」
黙々と折り紙でわっか飾りを作る私に
心配そうに声をかける満。
「うん、教室の手伝いでしばらく行けないって
池田に言っておいてもらったから平気」
「でも写真部も作業あるんじゃないの」
「まだ展示内容すら決まってないもん、
もう文化祭2週間前なのに」
写真部のことを考えると
自然に暗い声色で話してしまう。
門脇先輩と一緒に居たくて
部活に入ったのに、
あんな美人な彼女がいるんじゃ
そんな資格もないじゃん。
2人が近くで話したりするシーンが見たくなくて
もう数日、ずっと部活には行っていない。
「展示内容まだ決まってないってやばいんじゃないの?」
智香も心配してくれるけど、
私にはあんまり実感がない。
今頃もう作業始まってるのかな。
考えてたせいで手が止まる。
「小坂ー」
クラスの男子に名前を呼ばれて
注意されたのかと思ってびっくりすると
「杏莉!ちょっと!!」
慌てた様子の真央。
「えっ!何!」
つられてせかせかすると、
ドアの方を驚いて指差す真央。
「何……?」
そのまま指の指す方向を見ると、
……門脇先輩?