――「小坂連れてきましたー」
池田の声と同時に部室に入る。
「おー、杏莉ちゃん!待ってたよー」
「小坂さん、こんにちは」
「おーっす小坂ー」
先輩たちに挨拶をもらって
「あ、はい、遅れてすいません!」
応えてはみるけど、
門脇先輩と美涼先輩の距離が気になる。
昨日私が門脇先輩の隣に座って
ドキドキしてた距離とは違う、
門脇先輩のすぐ後ろからのぞくように何かを見てる美涼先輩。
2人の顔はすごく近く、
少し動いただけでもぶつかってしまいそう。
だけど2人ともそんなの全然気にしてないって感じ。
『2人って付き合ってるじゃないの?』
さっきの話が頭の中にこだまする。
もしかして、
その噂、本当なんじゃないかな、なんて。
その後の部活は何も頭に入ってこなかった。
そして極め付けに
「豊ー、今日うち来るの?」
「ああ、うん、お邪魔するね」
なんて。
放課後男女が家に行くなんて、
付き合ってなきゃやらないよね。
確かこの2人幼馴染とかではなかったし。