「え……嘘、

門脇先輩、彼女いないと思ってた」


どうしても落ち込みを隠せない私に


「でもさ、部活で一緒にいて

先輩のこと見てきた杏莉が違うと思うんなら違うんだよ」

「そうそう」


みんなのフォローにいたたまれなくて


「うん、そうだよね!」


なんていってみるけど、

内心気にしまくり。


だって門脇先輩と美涼先輩が付き合ってるなんて。


今まで部活で門脇先輩が彼女の話とかしたことなかったから

いないって勝手に思ってたけど、

もし美涼先輩が彼女なら

部室でそんな話しないよね。


十分有り得るんだ。


作業する手が止まる。


「杏莉……」

心配そうな満の声が聞こえて

慌てて

「大丈夫だからね!」

と笑って見せると


「うん。

でもそうじゃなくて……ほら」

満は教室のドアの方を指差した。


「……池田?」

目が合って手招きされる。


準備するクラスのみんなを避けて

急いで駆け寄ると


制服姿の池田が


「小坂今日来ねえの」


そう聞いてくる。