――「でね、その後先輩とねっ!……」
「ふぅん」
私が嬉々として昨日の先輩との出来事を語っているのに
どうでもよさそうに満は相槌を打った。
「なんでそんなに冷めてるのー」
一緒に盛り上がりたくて話してるのにぃ、
と口を尖らせると
私のほうをチラッと見て、
冷たい表情。
「杏莉、今はね、雑談タイムじゃなくてね
……文化祭のクラス準備の時間なのよ」
「わ、わかってるよ!」
手を動かしながら話してるじゃん!
うちのクラスは無難にドーナツ屋さん。
あの某ドーナツチェーン店から
大量に業務用で購入して売るだけだから
そんなに忙しくない。
今は教室内の飾り付けを作っていて、
私は看板の色塗り。
「いくらうちが準備楽な方だからって、
杏莉昨日は放課後すぐ部活行っちゃったでしょー」
高校からの友達、
真央-まお-が私に後ろから乗りかかる。
「うわっ真央!……昨日はごめんってばー!」
「終礼したらすぐ教室でてっちゃってね」
くすっと笑ってるのは智香-ちか-。
実は昨日放課後もクラス準備あるの知らなくて
結果的にサボっちゃったこと、
まだみんなにからかわれてるんだよね……。