「ほんとアイツ、ムカつく」



「羅菜……」



羅菜って本当、勘鋭いな……。
だって、朔空くんが猫かぶりって見破っちゃうんだもん。
私は朔空くんが本性現さなかったら、気付いてなかった。



「あ、そうだ羅菜」



「ん?どうしたの?」



「私……もう、梶原くんのことは諦めたんだ」



「え!?」



「昨日ね、梶原くんが彼女さんと一緒に帰ってるのに遭遇しちゃって。それを見て、ああもう諦めるしかないな、って思ったの」



未練はもうほとんど残ってない。
昨日、朔空くんとアイス食べたらだんだん落ち着いたんだよね。



ああ、そうだ。
朔空くんと一緒にいて安心したから私は、まだ一緒にいたいって言っちゃったんだ。
今、冷静になってみればやっぱり契約終了させた方がよかったのかもなんて思う。
まぁ、でも急に朔空くんと私が一緒にいなくなったら不自然だしね!
もう少し一緒にいてもいいかな。



「そっか。陽莉がそう思ったならいいんじゃない?」



「ありがとう、羅菜」



梶原くんへの想いにはもう鍵をかけて、過去のこととして受け止める。
今の私にはそうすることが一番だ、きっと。