はぁ~~マジでなんで俺、こんなに心臓バクバクしてんだよ……クソ。



「朔空くん~」



「はぁ、うるせぇよ」



「んぐ!?」



俺は振り返って、少し後ろにいた陽莉の顔を自分の胸に押し付けた。



「別に、お前がなにかしたっていうワケじゃねぇから」



「ほんとに……?」



「そうだって言ってんだろ」



「な、ならいいんだけど……っ」



つーか俺、なんでこんなことやってんだろ。
我に返って、陽莉を解放する。



「……行くぞ」



「う、うんっ」



陽莉はいつもとは違って、大人しく俺についてきた。



そんな陽莉を可愛いなんて思った俺は……なんなんだろうか。