「やっぱり、私には朔空がいないとダメみたい」
謝りながらも俺の胸にしがみついたまま、玲は震えた声で言った。
「なに言ってんだよ。7、8年間会ってなかったのに」
「すごく寂しかったんだ。やっぱり私には朔空しかいないんだってわかったの」
「玲……」
「ずっとそばにいてほしい、なんて言ったら陽莉さんに申し訳ないけど……でも、朔空がいないと寂しいよ」
小さい頃も、玲はこんな風にたまに弱音を吐いてた。
俺はそんな玲の背中をなにも言わずにポンポンしていた。
「ねぇ、朔空……私じゃダメ?陽莉さんじゃなくて……私じゃダメ、かな……?」
「なに言って……」
「朔空を誰にも渡したくない……。陽莉さんにも……」
玲がまさかこんなことを言うなんて思ってもいなくて、俺は驚きを隠せない。
「玲、お前……っ」
「なんちゃってー!ふふ、騙された?」
急に玲がさっきの寂しそうな表情とは違う、明るい笑顔でそんなこと言うからホッとした。
だよな。
玲が俺を好き、とか絶対ありえないし。
俺も玲を好きになんてなるはずもない。
俺にとって玲は妹のような存在だから。