朔空くんは立ち止まって、私を見つめた。



どうしたんだろう……?



「あの、朔空く……ひゃ……っ!」



不意に腕を引かれ、私は朔空くんの胸にすっぽりおさまってしまった。



「あ、え、朔空くん!?」



「あー、もうマジ可愛すぎ。俺のためにそんなに頑張ってくれたとか、嬉しすぎだから」



「さ、くくん……」



「ダメ。見んな」



朔空くんの顔を見ようとしたら、胸に押し付けられて阻止された。



「今絶対、顔真っ赤だから」



「っ」



私も……今、顔熱い。
きっと真っ赤だ……。



「はぁ……陽莉は俺をこんなにドキドキさせて、なにがしたいワケ?」



「朔空くん、ドキドキしてるの……?」



「俺の鼓動、聞こえるだろ?」



朔空くんの胸に耳を澄ますと、たしかに鼓動が速い。
ドクドクいってる……。