「失礼しまーす……って、誰もいねぇじゃねぇか」



保健室は人の気配はなく、シーンとしていた。



「陽莉、ここに座って」



「う、うん」



陽莉を長椅子に座らせて、大きめの絆創膏と消毒液とティッシュを用意する。



「ちょっと染みるかも」



「い、いた!」



陽莉の前にしゃがんで消毒液をティッシュに付けて陽莉の膝に当てて、絆創膏を貼った。



「……はい、これで完了」



「ありがと!朔空くんってたまに優しいね」



「なんだよたまにって」



「だって朔空くんってイジワルばっかり言うんだもん」



そんなの、愛情の裏返しに決まってんだろ?
陽莉以外の女にはイジワルなんてしねぇし。



好きだから、イジワルしたくなんだよ。