そして朔空くんは私の腰を抱いて引き寄せた。
そのせいでまた距離が近くなる。
「なぁ、このままお前の唇、奪っていい?」
「っ」
どうしよう、頭がボーっとしてきた。
顔と胸が熱くて、なにも考えられない。
このまま溶けちゃいそうだ。
ダメダメ!惑わされちゃ……!
朔空くんはきっとからかってるだけなんだから……!
「だ、ダメに決まってるじゃん!」
私が朔空くんの体を押し返すと、朔空くんは素直に離れてくれた。
「ほんと素直じゃねぇヤツ。本当はキスしてほしいクセに」
「ち、違うよっ」
やっぱり朔空くんはイジワルだ。
でも、心のどこかでキスしちゃってもいいかな、なんて思った自分がいたんだ。
「はいはい、はやく行くぞ」
「ちょっと、待ってよ~!」
私にケータイを返して、朔空くんは歩きだした。