気のせいかな
背中がちかい気がするのは
今も振り向いてくれるんじゃないかって
おもっちゃうなて――…)
優くん…
って
(ドキンドキンドキンドキン)
優くんが後ろ向いてくれた…
「さくらちゃん前髪きった?」
「う、うん!」
(はずかしいよぉー)
「じぶんでちょっとだけ…
切ったんだけどへんかな…?」
「そう?」
―――――ギシ――
(ひひゃー)
あの10cm前には優くん…
(なになに…?
え?え?)
「大丈夫!
かわいい!かわいい!」
(ドキドキドキドキ
私いま、最高に顔あかいよー)
「おー!
すげーなさくらちゃん
ゆでたまごじゃん!」
「んもう!
ならなわないでよ!」
「は?からかってないけど?」
「うそだー! 」
「うそじゃねえっつーの!」
テレテルで
「暖房あつくね?」
「わ、わ、私もそうおもうっっっ」
優くんもちょーーテレテル!
(ドキドキドキドキ)
(優くんも――…
私と同じ気持ちだって
思っても…いいのかな…?
この気持ちをちゃんと伝えたい)
私は家に帰ると前と同じ文の手紙を書いた
(ドキンドキン)
「で…
できた!!」
(私 木野桜は優くんがすきです!
ぜったいわたすぞ!)
――――がらがらガラッ―
「おい!ゆう! 」
(ドキドキドキドキ)
「なんだよ朝からうるせーな」
「お、おまえ!
隣のくらすの佐野 雪に告白されたの
ほんとなのかよ!」
(えーー…)
「あー、ほんとだよ」
「まじでー!?
学年一の美少女に告白されるとか…
返事はおっけーなんだろ?」
「人のプライバシーだろ…
教えねーよ馬鹿」
(ドクンドクン)
くしゃ…っ
「おまえ…!
おっけー!したんだな?
あ"?
じりぃー」
「うっせー馬鹿!」
(セーフだよ
セーフだよ!
手紙渡す前でよかったぁ…
あんなにかわいい子と私じゃ
どう考えても勝ち目ないもん
おにあいだよね…)
「…ちゃん
さくらちゃん!」
「あ、優くん…」
「つぎ視聴覚室に移動だよ!」
「あわわわ…」
「いっそげ!」
―――がらがらガラッ――――
(優くんは優しさ
きっとそれは誰にでも…
だから私は特別じゃないんだ
そんなことも忘れちゃうなんて
私…
どうかしてたな…)
「あのさ、さくらちゃん」
「ん?」
かさっ
「―…この落ちてた手紙の
ことなんだけど」
(こんな表情の優くん始めてみた…)
「もう一度いう
これ…
さくらちゃんが書いたんだよな?」
(期待してもいいの…?
思いを伝えても―
優くんが私を選ぶ訳がない!)
(ドクンドクン)
(告白しても、どうせふられちゃう)
「だ、だから~
私じゃないってば~!
そんな手紙持ち歩いてたらだめだよっ!」
(せめて
友達のままでいまいよ…!)
「隣のくらすの子の付き合うんでしょ?
変な誤解されたらこまるんじゃ――」
「わかった
もういいよ」
すごい低くて少しこわい声で
私にいったあと優くんは背中を
私に向けた…
(この日をさかいに
優くんとは気まずくなってしまった…
ズキンズキン
あんなに近かった背中が
もうこんなに遠い…)