「濡れてない大丈夫?」





(ドキンドキン)














「全然大丈夫だよ」








(ドキン)











「さみーなぁー」








「さむいねぇ」
















(相合傘ちかいよおー







いま私すんごい顔あかいよー)








「さくらちゃんってさ






中学の時




運動部だった?」










「え?うん!




陸上部!」










「なるほどー」


優くんは首を上下にうなずく









「去年の夏だったかな?





さくらちゃんこの辺りで




チャリのってるおばさん


追いかけてたじゃん?





どこまでもスゲーは知ってて


なんか以外っつーか




そんで『財布落としましたよ』

なんて言ってたからすごいいい子だなって思ってさ




どんな子だろーってちょっと気になってたんだ






な、なんてな、な!」




優くん顔あかい…





(ドキンドキン



どうしようすごい嬉しい)








「私は春に一人でご飯食べてたとき


話しかけてもらったの嬉しかったよ!」







「あー!



そんなこともあったなぁ!!」










(優くんが…











優くんがそんなふうに、おもっててくれてたなんて…)







(思わず期待しちゃうよ…





私って単純なおんな…汗












気のせいかな



背中がちかい気がするのは










今も振り向いてくれるんじゃないかって





















おもっちゃうなて――…)









優くん…




って










(ドキンドキンドキンドキン)






優くんが後ろ向いてくれた…











「さくらちゃん前髪きった?」











「う、うん!」






(はずかしいよぉー)









「じぶんでちょっとだけ…





切ったんだけどへんかな…?」















「そう?」






―――――ギシ――








(ひひゃー)








あの10cm前には優くん…












(なになに…?





え?え?)
















「大丈夫!



かわいい!かわいい!」











(ドキドキドキドキ








私いま、最高に顔あかいよー)












「おー!



すげーなさくらちゃん

ゆでたまごじゃん!」








「んもう!



ならなわないでよ!」








「は?からかってないけど?」













「うそだー! 」













「うそじゃねえっつーの!」












テレテルで




「暖房あつくね?」













「わ、わ、私もそうおもうっっっ」











優くんもちょーーテレテル!











(ドキドキドキドキ)









(優くんも――…




私と同じ気持ちだって


思っても…いいのかな…?











この気持ちをちゃんと伝えたい)










私は家に帰ると前と同じ文の手紙を書いた









(ドキンドキン)










「で…



できた!!」








(私 木野桜は優くんがすきです!








ぜったいわたすぞ!)









――――がらがらガラッ―









「おい!ゆう! 」




(ドキドキドキドキ)





「なんだよ朝からうるせーな」







「お、おまえ!







隣のくらすの佐野 雪に告白されたの


ほんとなのかよ!」












(えーー…)








「あー、ほんとだよ」






「まじでー!?







学年一の美少女に告白されるとか…



返事はおっけーなんだろ?」







「人のプライバシーだろ…


教えねーよ馬鹿」





(ドクンドクン)




くしゃ…っ









「おまえ…!



おっけー!したんだな?



あ"?

じりぃー」








「うっせー馬鹿!」








(セーフだよ



セーフだよ!







手紙渡す前でよかったぁ…










あんなにかわいい子と私じゃ


どう考えても勝ち目ないもん







おにあいだよね…)








「…ちゃん




さくらちゃん!」






「あ、優くん…」









「つぎ視聴覚室に移動だよ!」










「あわわわ…」





「いっそげ!」




―――がらがらガラッ――――








(優くんは優しさ



きっとそれは誰にでも…






だから私は特別じゃないんだ













そんなことも忘れちゃうなんて

私…







どうかしてたな…)