「うわっ!



みぞれだー









傘忘れちゃったよ」




大きくため息をつきながら


マフラーを 首から頭えと巻いていく












「さくらちゃん



うちのばーちゃんと同じ巻き方だよ







マチコ巻きってやつ?」










顔を向けるとそこには










(優くん…!)











「駅まではいってく?」






(ドキンドキン









うわぁ////

う、う、うれしい!)









「い、いいよ大丈夫!」











「そう?」












「うん!




ありがとう!」












(相合傘なんてぜいたくだよー














ってあれ?

冷たくない…)










「ん」








「え…

大丈夫って」











「言っておくけどさくらちゃんのため



っていうより俺のため












明日もしもさくらちゃんが



風邪ひいたらさ






やっぱり傘いれとけばよかった〜


ってなるじゃーん?」










「じゃあ、おじゃましようかな」













「そーしなさいっ」









そういうと優くんはいつものかわいい顔で笑った







(優くんってホント…









優しいな…











そういうところがみんなに

好かれるんだろうな…)










「ありゃ、マチコやめるの?」








「はずかしいもーん」







「そお?

可愛かったよ」







少し顔の赤い優くん…








「さ、さあいこ!」







「う、うん!」









「濡れてない大丈夫?」





(ドキンドキン)














「全然大丈夫だよ」








(ドキン)











「さみーなぁー」








「さむいねぇ」
















(相合傘ちかいよおー







いま私すんごい顔あかいよー)








「さくらちゃんってさ






中学の時




運動部だった?」










「え?うん!




陸上部!」










「なるほどー」


優くんは首を上下にうなずく









「去年の夏だったかな?





さくらちゃんこの辺りで




チャリのってるおばさん


追いかけてたじゃん?





どこまでもスゲーは知ってて


なんか以外っつーか




そんで『財布落としましたよ』

なんて言ってたからすごいいい子だなって思ってさ




どんな子だろーってちょっと気になってたんだ






な、なんてな、な!」




優くん顔あかい…





(ドキンドキン



どうしようすごい嬉しい)








「私は春に一人でご飯食べてたとき


話しかけてもらったの嬉しかったよ!」







「あー!



そんなこともあったなぁ!!」










(優くんが…











優くんがそんなふうに、おもっててくれてたなんて…)







(思わず期待しちゃうよ…





私って単純なおんな…汗












気のせいかな



背中がちかい気がするのは










今も振り向いてくれるんじゃないかって





















おもっちゃうなて――…)









優くん…




って










(ドキンドキンドキンドキン)






優くんが後ろ向いてくれた…











「さくらちゃん前髪きった?」











「う、うん!」






(はずかしいよぉー)









「じぶんでちょっとだけ…





切ったんだけどへんかな…?」















「そう?」






―――――ギシ――








(ひひゃー)








あの10cm前には優くん…












(なになに…?





え?え?)
















「大丈夫!



かわいい!かわいい!」











(ドキドキドキドキ








私いま、最高に顔あかいよー)












「おー!



すげーなさくらちゃん

ゆでたまごじゃん!」








「んもう!



ならなわないでよ!」








「は?からかってないけど?」













「うそだー! 」













「うそじゃねえっつーの!」












テレテルで




「暖房あつくね?」













「わ、わ、私もそうおもうっっっ」











優くんもちょーーテレテル!











(ドキドキドキドキ)









(優くんも――…




私と同じ気持ちだって


思っても…いいのかな…?











この気持ちをちゃんと伝えたい)










私は家に帰ると前と同じ文の手紙を書いた









(ドキンドキン)










「で…



できた!!」








(私 木野桜は優くんがすきです!








ぜったいわたすぞ!)