私の名前は木野 桜 キノ サクラ




席は1番窓側の前から2番目












冬は寒くて先生の近くで







大不評のこの席は














私にとってさいこうの特等席












大好きな野中 優 ノナカ ユウ くんを



いつも見ていられるから

















もちろん私の片思いなんだけど…







あふれる想いを手紙に書いた






〝前略 野中優さま





起こっていたかと思えば

笑い出すコロコロ変わる表情や


とても面倒見がいいところ


笑うとかわいいところ


相手を楽しませるのが上手いところ


真面目な時にキリッとした表情








そんな優くんに憧れてます
















恋してます――――――――――〟







(まぁ、そんなこと


言えっこないんですけどね!?汗)




彼の背中を見ながら




昨日、徹夜して書いた手紙を

思い出して熱くなる私の顔








「なんだこれ



おちてるぞー」




私の後ろの席の子の声がした









「えーっと

ラブレターか?



前略 野中優さま




怒こっていたかと思えば

笑い出す……」





「ちょっ!?


馬鹿やめろよ!!!」








(きゃーーー


私のだ!



どうしておちたのー



私の馬鹿)









そう思っているとまえに座っていた

優くんは私の書いた手紙を

ちゃかしまくる男子から

受け取って席についた







「あれ?



名前書いてないや…」











どうしよう…




なんとかごまかさないとっ!





私の心臓はドキドキと音をたてる










「ねえ、さくらちゃん


これ書いたのさくらちゃんじゃない?

字がにてる」







優くんは少し頬を赤くしながらうしろに振り返っている







(え"ー!)






「お、女の子の字なんて皆そんなもんだよ」








少し頬の赤い優くんは私の目を見つめたあとまえを向いた




「そ、それもそうだな」








「そうだよ!

びっくりしたー」





(あっぶなかったー)







「優がラブレターをもらったと聞いて!」





一人の優くんの友達が声を優くんにかけた





「学級日誌で筆跡鑑定してやろか?」







(おい!二人目の優くんの友達やめてよ!)












「ばーか





お前ら面白がりすぎ!













こーいうのはおもちゃじゃねーの」






優くんは頬を赤く染めながら言う










(あぁ…



やっぱり優くんすきだよ)







(私が優くんをすきになった



キッカケは去年の春








クラス替早々インフルエンザで一週間



休んだ私は






友達をつくるタイミングを逃してしまった









さみしいけどどう声をかけたらいいかわからなかった




そんなとき…)












「ちっせー弁当!





病み上がりなんだから




もっと食わねーと体力もたねーぞ?


快気祝いにやるよ」





無邪気に笑っていた優くんは

そう言って私にメロンパンをくれた