一見して翠に対するあてつけのような返答だが、この義姉は翠のことをえらくかわいがっている。そこからすると、間違いなく今のあてつけは俺へ向けてのものだろう。
「なんていうのかな……。たぶん、私と楓さんは……というより、私は――かな。司と翠葉ちゃん、楓さんほど真剣に考えて行為に及んだわけじゃないってことは確か。楓さんも、まさかこの一回で妊娠するとは思ってなかったんじゃないかな。でも、妊娠したとしても動じないだけの覚悟は持っていた。私は……正直言って持ってなかった。そういう温度差は妊娠が発覚してから嫌というほどわかったわ」
「……それが、義姉さんが動揺した原因?」
「かもしれない。あのときは楓さんに人生を台無しにされた気さえしてたからね。そういう行為に踏み切ったのは自分自身にも関わらず」
義姉さんは過ぎたこと、とでも言うかのように、クスクスと笑って話す。
「ねぇねぇ、まさか翠葉ちゃんとそういう関係になりそうなの?」
ニヤニヤと笑う口元が最悪。その表情から唯さんを連想するくらいには最悪。
訊きたいことは粗方訊けたから席を立とうとすると、
「嘘うそっ! からかったりしないからもう少し話し相手になってよ」
「なんていうのかな……。たぶん、私と楓さんは……というより、私は――かな。司と翠葉ちゃん、楓さんほど真剣に考えて行為に及んだわけじゃないってことは確か。楓さんも、まさかこの一回で妊娠するとは思ってなかったんじゃないかな。でも、妊娠したとしても動じないだけの覚悟は持っていた。私は……正直言って持ってなかった。そういう温度差は妊娠が発覚してから嫌というほどわかったわ」
「……それが、義姉さんが動揺した原因?」
「かもしれない。あのときは楓さんに人生を台無しにされた気さえしてたからね。そういう行為に踏み切ったのは自分自身にも関わらず」
義姉さんは過ぎたこと、とでも言うかのように、クスクスと笑って話す。
「ねぇねぇ、まさか翠葉ちゃんとそういう関係になりそうなの?」
ニヤニヤと笑う口元が最悪。その表情から唯さんを連想するくらいには最悪。
訊きたいことは粗方訊けたから席を立とうとすると、
「嘘うそっ! からかったりしないからもう少し話し相手になってよ」