飲み物の用意が済んでリビングへ行くと、そこも今までとはかけ離れた雰囲気になっていた。
 もともとある家具の配置が変わったということはない。しかし、今まではかけられていなかったソファカバーやクッションカバーが全面に「女子」を主張してくる。
 義姉さんは自分を飾らない性質ではあるが、色はピンクや赤といった「女子らしい」ものを好むらしい。
 まるで女子の部屋――。
 そんな部屋に免疫はなく、ピンク色のソファに掛ける気にはならず、唯一何も変わっていなかったダイニングのテーブルセット、モノトーンの椅子を引いた。
「私はソファに座ってもいい? こっちのほうが楽なの」
「どうぞ」
 義姉さんはソファに座ると、
「で? 司が私に訊きたいことって何?」
 義姉さんは心底不思議そうな顔をしていた。
「……妊娠して、得たものと失ったものを知りたくて」
「……は?」