次の日、新くんに言われたことを気にしながら、私は凌のいる病院へ来ていた

病室の前で新くんの言葉を思い出し、ドアに手を置いたまま止まってしまった

友達として、同級生として、幼馴染として、ただそれだけ

そう思ってドアを開けようとした時だった

「亜美・・・ちゃん?」

名前を呼ばれゆっくり振り向くと

「亜美ちゃんよね?」

私を呼んだのは凌のお母さんだった

何年ぶりに見るだろう。とてもきれいだった凌のお母さんは今でも変わらずきれいで・・・

「凌に会いに来てくれたの?」

「はい。お久しぶりです」

「懐かしいわね。こんなに大人になっちゃって・・・」

「そう・・・ですか?」

「今・・・、話できる?」

「あ・・はい」

なんの話だろう・・・

私は凌のお母さんに着いて行き、同じフロアにある待合室へと来た

向かい合わせに座り、凌のお母さんが私にお茶を買ってくれた

「病院から電話が来た時、びっくりしちゃってね・・・飛行機がなくて次の日、朝一番でここに来たんだけど、危篤だったなんて信じられないぐらい元気だったわ」

ちょっとだけ笑顔を見せ

「凌・・・」

お母さんはそう言ったまま俯いてしまった

「どうしたんですか?凌がどうしたんですか?」

「ごめんなさいね・・・」

涙を流していた

凌に何かあったの?

「あの子・・・足が動かないの・・・」

私はその一言で全身に鳥肌が立ってしまった

凌の足・・・?動かないって・・・

「どういうことですか?教えて下さい」

「右足はリハビリで動くかもしれないって、でも左足の神経が切れてしまって、もうどうすることも出来ないって・・・」

「嘘・・・」

そんな・・・動かないなんて凌の人生はこれからなのに・・・

「手術とか出来ないんですか?」

「切断にならなかっただけ救われたって・・・そう言われたわ」

ハンカチを出して泣く凌のお母さんの前で、私も泣きそうになり唇を噛み締めた

今は泣いてはいけない