「それでね〜龍くんってばさ〜クレープ落としちゃってさ〜」

「あいつって案外ドジなのね」

「誰がドジだって?」

そー言ってあたしの顔の隣に
ひょこっと顔を出した

「今ねー龍くんの話してたんだよ〜」

「へぇ〜俺の話?」

「そーそーでさー!昨日の〜」

また二人の世界が始まった気がした
私はこの空間が少し苦手だ
またトイレに行くふりをするか…

「あ!亜美ちゃん!」

「あ、西条くん」

「昨日ぶりだね〜」

「昨日ぶりってなんか日本語おかしくない??」

「そーかも!」

ニコニコして笑う西条くんは
太陽みたいにほわほわしてた

「あれ?空じゃん。空がこの教室くんの珍しくね?」

「まぁたまにはいいかなって思って」

「せっかくハーレム状態だったのにー」

「まぁそーゆーなよ」

こんな二人の会話を見ると
ホントに不良なのかって思った
最初の印象が悪すぎだったのもあるかもしれないけど……

「伊藤!ちょっと手伝ってくれ!」

そー先生が言った

「あ!?俺かよ!?ふざけんなよてめえ」

「あんたじゃないわよ!あたしよ!」

苗字が一緒ってホントに嫌になる
たまにあるんだこーゆーこと
いっつもこの馬鹿が勘違いしてキレる
もー日常的になってきたけどね

そんなある日。

「伊藤さん話あるんだけどいいかな?」

いきなり話しかけられた
しかも男子に

「え、あ、いいけど……何?」

「ここでは言えないから屋上来てくれるかな?」

「あ、わかった」

そー言って私はその男子について行った
彼は同じクラスの篠井蓮くん
みんなに優しくてかっこよくて
男女構わずモテモテな人
そんな人があたしに何の用だろう……

「えと…伊藤さんって今付き合ってる人とかいるの?」

いきなりそんな事聞かれると思わなくて
びっくりした

「い、いないけど」

「そっか。俺さ伊藤さんのことずっと好きだったんだ!俺と付き合ってもらえませんか?」

……えええええ!?
こんな爽やか系イケメンの篠井くんに
告白された!?
いや、これは夢だきっと

私は頬をつねった

い、痛い………

「えと。いきなりごめん。こんなこと言われても困るよね……」

「いや、そーゆーんじゃなくて……」

「なら俺と付き合ってくれるの?」

「いや、それは無理。まだ篠井くんのこと何も知らないし好きでもないから付き合えない。ごめんなさい」

そーだよ。好きでもない人と付き合えるわけがない。でもまさか人生初の告白がこんなイケメンな人だとは……

「そっか。ごめんね?でも友達からでも仲良くしてくれるかな?」

「うん!もちろん大丈夫だよ!」

そして私達は連絡先を交換した