ホントは用事なんてなかったんだけどな
駅前のクレープ屋さん今日ゆらと行こうと思ってたのに……
でもまぁゆらがあいつと行きたいなら
仕方ない
あたしは後回しでもいいもんね!

「あれ?亜美ちゃん?」

振り向くと伊藤龍といつも一緒にいる
赤髪の人
彼は私に可愛いって言ってくれた人
伊藤龍の友達?でもある
たしか名前は…

「西条空」

サイジョウ ソラ

なんて綺麗な名前なんだろ

「空って感じのイメージないよね〜」

「え!?あ、まぁそうだね。空って言うより茜って感じする」

あ、茜って女の子の名前か!?
しまったあたし……

「よく言われる〜まぁ別に茜でも空でもどっちでもよかったんだけどね」

「あ、あたしは空って名前好きだよ?」

私はホントにそー思った

空ってどこまでもひらがっていて
ふわふわしている感じがする…
優しいイメージ

「ホント?これで褒められたの2回目!」

「2回目?」

「そ〜龍にも褒められたんだよね」

「そーなんだ〜」

「てか親友ちゃんは?」

「親友ちゃんってゆらのこと?」

「そーそーいつも一緒じゃん」

「あー今日伊藤龍と駅前のクレープ食べに行くらしくて」

「なんで亜美ちゃんは一緒に行かなかったの?」

そー言われると
どー応えていいかわからなくなった
ゆらが伊藤龍の事好きだから
いや、言っちゃいけない気がした

「用事があったから誘われたけど行けれなかったんだよね〜!」

これが1番ベストかな
まぁ二人にもこー言ってきたわけだし

「ふ〜ん。あ、俺も用事あるから!また学校でね!」

「あ!じゃーね!」

私は西条くんの背中が見えなくなるまで
そこで立ち止まってた

はぁ〜家に帰っても暇だしどーしよー

そー思ってブラブラ歩いていると
目に入ったのはクレープを食べながら喋ってる伊藤龍とゆらだった
ゆらは楽しそうに笑ってて
幸せそうな顔をしていた

よかったね。ゆら

その日はそー思ってた