「起立〜礼〜さよなら〜」

夏休みまであと1ヶ月をきった
暑さもだんだん増してきた

「ブースーあーみーちゃーん!」

この声は……

「伊藤龍……」

「お前いい加減フルネームやめろよ」

「別にいいじゃん」

こいつと同じ苗字だから
伊藤って呼ぶのに抵抗がある
そー言って名前で呼ぶのもちょっと…

「ホント亜美と龍くん仲良いよね」

そー言ったのはゆらだ
ゆらはここ1週間で伊藤くんから龍くんって呼ぶようになった
伊藤龍もそれをあまり気にしてない様子

「仲良いとかありえないから」

「え?俺別にいいけど?」

その瞬間胸が締め付けられた
病気かな?
そー思いながら

「私は嫌なの!!!」

そー応えた
言い合いをしていると

「龍くんは好きな人とかいないのー?」

ゆら直球すぎ!!
なんでそー簡単に聞ける!?

「今は…いないかも」

今はって前はいたのかな?

「そーなんだー!あ、これからさ駅前のクレープ食べに行かない?新しく出来たらしくて美味しいって噂なんだよ?」

私はその場から去るようにトイレに行くふりをした。
そーすると

「亜美が来るならいいよ!」

え…あたし!?

「え、も、もちろん亜美も一緒だよ!」

ゆらは少し悲しげな顔をして応えた

「あ!あたし今日用事あるから!二人で行って来なよ!!」

これがあたしの役目だと思う
ゆらが初めて好きになった人
だからゆらを応援しなきゃ!!!

「えー亜美行かないのー?」

「あんたとは一緒に行きたくないし!ゆらと行って来なよ!!」

「えー。んー。わかった」

「亜美ホントにいいの?一緒に行かないの?」

「う、うん。用事あるし!」

キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン

「あ!早く帰んなきゃ行けないから先に帰るね!楽しんで来てねゆら!」

それだけ言うとゆらの返事も聞かず
教室を飛び出た