「俺は大丈夫だけど、そっちは大丈夫?」 
ずっと見ている私を不思議そうに、その先輩は聞いてきた。
え…私のこと心配してくれてるの?
私がぶつかってきた立場なのに、申し訳ないな…。
「はい、大丈夫です。腕を引っ張ってくれなかったら、きっと転けてました。ありがとうございました。」
「それなら、よかった。じゃあ、俺は急いでるから行くね」
と先輩は笑顔で私を見て、どこかへ行ってしまった。
部活に入ってない私は、三年生にこんなかっこいい人がいるなんて、知らなかった。思わず先輩の背中を見つめて、ずっと立っていた。