「ごめんねー幼なじみくん」




菜緒の横からそんな声が聞こえた。




暗くてあまり見えないが、顔は申し分ないくらいカッコいい。




「じゃあ僕は帰るね」



俺と向き合っていたのをクルッと方向転換し、菜緒の方を向いた。




何かを耳元で囁いてからチュッと菜緒の頬にキスをした。




はぁ?



何やってんだよこいつ。



今にも殴りかかりそうなのを我慢して菜緒の方を見ると、菜緒は顔が真っ赤になっている。




わざわざ俺の前でイチャつかなくてもよくない?



菜緒の彼氏と思われる男は去っていったけど、俺のイライラはおさまらない。