「つまり、色を変える魔法しか使えないわけか」


僕は落胆しながら言った。


「色を消すこともできますよぉ?」


アカネはペン先を左腕に向けた。


すると、左腕が姿を消した。


「へー。じゃあそれを使えば“透明人間”にもなれるってことか」


「なれませんよぉ。あたしの魔力だと、一部を消すので精一杯なんですぅ」


「使えない能力だな」


僕は思ったことを素直に口にした。


アカネは、その言葉にかなりショックを受けたようで、突然悲しげな表情になった。


「……そうなんですぅ。大学のみんなにもそう言われました。だからここにきたんですぅ!」