「これも……魔法?」


魔法だとしか思えない。


僕は二十二年間、まともに人と話せなかったんだから。


僕の言葉に、アカネはにっこり笑って首を振った。


「違いますよぉ。あたしが使えるのは色の魔法だけですからぁ」


「だけど……」


「新田智則は、今まで緊張して話せなかっただけなんですよぉ」


アカネが僕の言葉を遮って言った。


「きっとあたしが突然現れたから、びっくりしちゃって緊張するのを忘れてたんですよぉ」


そんなことがあるのだろうか。


だけど今は、そんな疑問よりも、普通に人と話せていることが嬉しかった。


僕はずっと、誰かと話をしたかったんだ。