「あ、こんにちは、魔女でーす」


僕は自分の目と耳を疑った。


ありえない。


突然目の前に女が現れて、『あ、こんにちは、魔女でーす』なんて意味のわからないことを言うなんてありえない。


「ちょっとー、無視しないでくださいよぉ!」


「いや、てか誰?」


思わず僕は聞いてしまった。


こんなの、夢か幻想に決まってるのに。


「誰って……だから魔女ですよぉ!」


これは現実なのか?


だとしたら、なぜ僕の目の前に、しかもプレイ中のゲーム機の上に現れるんだ?


「あの、とりあえずゲーム機に乗るのやめてもらえます?」


「ゲーム機? あ、これのことぉ?」


魔女が僕のゲーム機を蹴飛ばした。


プチッという悲しい音と共に、画面が消えた。


「テメェ……」


「蹴っちゃいけなかったですかぁ? ま、いっかー」


いいわけないだろ!


「あのー、新田智則(ニッタ トモノリ)ですよね?」


魔女が僕の怒りにも気付かず、言った。