「へぇ。娘さんに、そんな男の人がいたのかい。知らなかったねぇ」
「そりゃあ、そうよ。娘は、今も独り身のままだもの」
「ん? その男性と結婚は、しなかったのかい?」

その質問に、私は情けないほどに表情が歪んでしまうのを抑え切れなかった。

「ねぇ、時子さん」

私の問いかけに、時子さんが少しだけ首をかしげる。

「私は、娘にとんでもないことをしてしまったように思うのよ」

そう。
あの時、私は間違った答を出してしまったんじゃないかって、未だに後悔をしているんだ。