「えっ」


優奈は私にそれだけ言い残すと、
智のもとへ走っていった。


「智っ…」


優奈が智を呼ぶ。

少し緊張したような、
慌てたような声で。


みんなが一斉に振り向く。

智も振り向く。


「川原?どうし…」


「…………………」


突然の出来事に、
みんながあ然とした。


優奈が智に、キスをした。




優奈はわずか2秒で
智の唇から自分の唇を
そっと離した。


誰もしゃべらない。


無言の間が続く。



しばらくしてから、
優奈がゆっくりと口を開いた。


「私…ずっと智が好きだったの」


顔を真っ赤にして、
真っ直ぐに智を見つめる優奈は、
すごく可愛くみえた。


智は、優奈の突然の行動と言動に
とても驚いたようだったが
やがて真面目な顔になって、
こう言った。


「……………ごめん」