その夜は風が一つもない
静かな夜だった。


11時。


ほとんどの部屋の電気が消え
しぃんと静まり返った宿の裏口に、
私たちはいた。


辺りは真っ暗。

コンビニの1つも無い。


時々、どこからか
フクロウの"ホー"という
声が聞こえるだけ。


「ひゃーっほんとに真っ暗!」


優奈が辺りをキョロキョロ見渡す。


「大阪とは大違いだねぇ」


"へぇ〜"とどこか感心しているような
態度を示す真琴。


葉月は先程よりは
眠くないらしく、
この暗闇の中でも、
眼が開いているのが
確認できるほどになっていた。


「もうすぐ祐希たちが来るはずだけどなぁ〜…」


携帯を開き、時間を
確認する。


真琴は気持ち悪いほどの笑顔で
祐希をまだかまだかと
待ち構えている。


そこに


「おーい!」