『えっどこにしよ?』

『何処が分かりやすいかなぁ』

『ってかこっからお寺ってどう行くん!?』

さっきまで
しぃんと静まり返っていた部屋が、
一瞬にしてにぎやかになった。


『あっじゃあこの宿の裏口で待ち合わせは?』


真琴が嬉しそうな顔で
私たちに提案する。


『おっいいじゃん♪由香、さっそく祐希に知らせてよ☆』


『おっけーい♪』


携帯をカチカチさせて
祐希に返事を打つ私。


to:祐希
――――――――――――
〈件名〉Re:起きてるよな?
――――――――――――

この宿の裏口に来て☆
よろしく♪

――――――――――――


送信…


『くぁ〜…』


目をしばしばさせて
大きなあくびをする葉月。


『ちょっと!何眠そうな顔してんの葉月!!』


夜になってますます
ハイテンションになった真琴が
葉月をバシッとたたく。


『だって眠いんだもん…』


真琴に
思い切りたたかれたにも関わらず、
葉月は目を閉じようとする。


『これからが本番なのにぃ〜っもうっ葉月!起きて!起きてよっ!!』


今にも夢の中に入りそうな葉月を
必死に揺さぶって起こそうとする真琴。