でも……


「じゃあ、諦めるの?」


「え…」


葉月の顔がふたたび曇った。


「諦めるしかないよ…」


葉月はまた私に背を向けた。


………


「諦めるしかないって…誰が決めたの?」


「えっ…」


「私…前に葉月に言われたよ?『諦めるしかないって…誰が決めたの?』って。そのお陰で私は今も頑張る事が出来てるの。葉月が私を応援してくれたみたいに、私も葉月を応援してるよ!?だから諦めるしかないとか言わないで!!」




しぃんとした草原のあたり一面に、
私の声は響いた。


心なしか、鹿も
私と葉月を見守っているような気がする。


「…由香…」


葉月の目が潤みだした。


「由香ぁぁあぁっ!!!」


葉月は私に抱きついて
わんわん泣いた。


前は私が葉月に泣かされたのに…
変な感じだな。


私と葉月の元に、
仲良くはしゃいでいた真琴と優奈が
かけつけた。




2人の顔は、笑っていた。