えっ…。


「それって……」


「…………」


葉月はそれ以来その事について
話さなかった。


それって……
つまりアレだよね…。


アレ……。


「ちょっとぉどおしたのぉ?!」


私と葉月の周りに
暗い空気が流れているのを感じ、
優奈が聞いた。


「べっ別になんでもない!」


私は葉月を横目でみながら
そう答えた。


葉月はひたすらお弁当のおかずを
口に運んでいた。




お弁当を食べ終えたあと、
葉月は私を呼んだ。


そして鹿がいる大木まで
私を連れてきたあと、こう言った。


「気遣ってくれなくていいよ!事実なんだし仕方ないし…それに、叶わないのわかってたから。」


葉月の顔は寂しそうだった。


私には後ろ姿しか見えなかったけれど、
なんとなく分かったんだ。


葉月は

「だからもう気にしないで!」

と私の右肩を掴んで言った。