「えっ…」


葉月がお弁当の箸を止めた。


な…なんか、
聞いちゃいけなかったかな…。


「ごっごめん…聞いちゃまずかった?」


「…そんな事ないけど…」


葉月の顔がみるみる
曇っていくのが分かった。


やっぱまずかったかな…。


「……実は…ね…」


葉月が重そうに口を開いた。


「私…こないだ先生の家まで行ったんだよね…」


えっ?


「いつ行ったの?」


「昨日。先生の帰りを待ってこっそり後をつけてったの」


きっ昨日!?


「なんで言ってくれなかったの」


「いや、なんか言いにくかったんだよね…色々あったし…」


あ…やっぱ
色々あったから…
言いにくかったんだ…。


「それで?何があったの?」


「………」



なかなか口を開かない葉月。


『開かない』んぢゃなくて、
『開けない』のかな…。


それからしばらく経って、
葉月が更に重くなった口を
ようやく開いた。




「………家の前に、彼女みたいな人が立ってて…………2人が部屋に入ってしばらくたって…………………部屋の電気が消えたの」