「ああ港先輩?やめときなよ自分が好きになったコにしか優しくしないから」


葉月が港先輩を見る私を見て
おかずを口にしながら
サラッと言った。


「えっなに言う…」


「好きなんでしょ?港先輩。もろバレ」


カーッと私の顔が
赤くなるのがわかった。


私ってそんな分かりやすいタイプなのかな…。


「てゆーか、なんで港先輩の事知ってんの?」


身を乗り出して聞く私に
葉月は
ゆっくり顔を向けて言った。


「だって、マンション一緒だし」


"そっそうなの!?"

そう言わんばかりに
私は目を丸くした。


葉月は私にとって
重大なニュースを
軽々と口にした。


「ホントに好きになったコにしか優しくしないの?」


「うん」


葉月はお弁当に
目を向けたまま答えた。


「思い切って告白しちゃえば?」


真琴がからかうように言う。


「真琴こそ、告白すれば?祐希に」


「えっ」


真琴の顔が
一瞬にして赤くなった。


そう、真琴は山下祐希に
恋をしている。

2ヵ月くらい前からずっと。


だが彼が彼女を作らないことを
真琴は知っているから、
告白しない。


無駄だと言うのだ。