私はまだ頬に智の唇のあたたかい
感触がはっきりとあるのに
気がついた。


頬を手で軽く触る…。


「由香!!」


「え?」


振り向くとこちらに向かって
走ってくる優奈の姿があった。


私の前で止まると
優奈は大きく深呼吸をして言った。


「ごめん!!私、ひがんでたんだわ」


頭を下げる優奈。


葉月と真琴はそんな優奈を見て
驚いている様子。


「私…葉月に言われたんだ。『自分が好きにさせられなかったからってひがむなよ』って。ホントにその通りだったよ。ひがんでた。ごめんね、由香」


「…ううん、自分の好きな人が友達に告白したら、辛いの当たり前だよ…」


「…由香…うわあああん」


私たち3人の前で大きく口を開け
泣き叫ぶ優奈。


「葉月もごめん、ごめんね…」


「わかってくれてよかった!」


葉月は優奈にデコピンした。


「ちょっと!!優奈の顔涙と鼻水でぐしょぐしょじゃん!!」


「ほんとだーっ!!」


「ええっ!?ぐしょぐしょ!?どーしよ〜」


私たちは涙と鼻水でぐしょぐしょの
優奈の顔を見て笑った。