授業が終わると
私は葉月と真琴に"行ってくる"
と言い、
智のクラスの教室へと向かった。


だが、教室には智はいなかった。


他のクラスの教室も見たが
智の姿はなく、私は迷った。


どこにいるのだろうと
思ったその時


「上野!探したぞ!」


「えっ」


振り返ると、こちらに向かって
走ってくる智がみえた。


「返事…聞こうと思ってさ」


ドクン


「あっ…」


自分からいいにいこうと
思って考えていた言葉が
消えてしまうくらい緊張してきた。


智は「ここじゃ言いにくいよね」と
私を屋上に連れていった。


屋上は風がそよそよ
丁度良い具合に吹いていた。


ここで、私は智をふる…。


智は悲しむだろうな。


"気にするな"って言って
無理して笑うだろうな。


智を想うと
苦しくて涙が出そうだった。