理科の授業の次は
お弁当の時間だった。


私たち4人はいつものように
机をくっ付けてお弁当を食べる。


お弁当のおかずを1つ口に入れると
腹の虫が止まらなくなる。

特にすいていなかったお腹が
香ばしい卵焼きのにおいで
急に空き始める。


「ねぇねぇ、あれみてよ」


葉月が私たち3人に
嫌そうな目で話しかけてきた。


「あれって何?」


「あれ」


葉月は窓際に1人
ポツンとお弁当を食べる
人物を目で指した。


その人物の名前は岡野まゆみ。

どのグループの女子からも嫌われている人物。


彼女に対する女子の態度で、
男子も
彼女が嫌われていることに
気付く。


それからというもの、
男子からも相手に
されなくなってしまった。


彼女が嫌われている理由は1つ。

それは、トロいから。

なにをしててもトロい彼女に
他の女子はうっとうしくて
仕方がなかったのだ。


「いつも1人で、少しかわいそうかも…」


「ばーか!あんなのはああしてやるのが1番なんだよ!」


葉月はおかずのウインナーを
箸でぐさっと刺した。