葉月の部屋に入るなり、
智は感激する。


「うっわーきれい。うっわー」


"うっわー"を繰り返す智を見て
葉月はプッと吹いた。


「智あんた葉月に迷惑かけないでよ!!」


「はあーい」


お母さんのように叱る真琴に
テキトーな返事で返す智。


そして…そんな2人を
見つめる優奈。


目は…少し寂しそう…


「優奈っマンションの探検いこ!」


「えっ?」


「葉月!優奈とマンション探検してくる!」


「はあーい☆」


私は優奈を連れて
葉月の家を出た。


「どうした?由香」


右手を掴まれたまま
不思議そうに私を見る優奈。


私は優奈の右手を放し
優奈と向き合った。


「優奈さ…智ずっと葉月と喋ってるじゃん」


「……」


優奈は少しうつむいた。


「このままじゃ優奈、智と喋れないよ?いいの?」


「……よくない」


優奈は下唇を噛んで答えた。


「ぢゃあ行ってきな!」


私は葉月の家のドアを
左手で開け
右手で優奈を玄関に押し入れた。


「…ありがと、由香…」


「いいって♪頑張るんだよ!?」


「うん!!」


優奈は靴をぬぎ
真琴と智が仲良く話す
リビングへと向かった。