「いるよ。」


私は素直に答えた。


「えっ誰?」


葉月は
お決まりの質問をしてきた。


けれど私は
その質問には答えず、

『葉月はいるの?』

と質問で返した。


すると葉月の顔から
ウキウキな表情が消えて、
不機嫌そうな顔が表れた。


「私、自分の恋バナするの嫌なんだよね」


そう言うと葉月は木の椅子から立ち上がった。


「なんで?」


問いかける私を
じめっとした顔でみながら
葉月は答えた。


「だってみんなからかうから。」


葉月は再び木の椅子に座った。


「何を?」


少しの沈黙の後、
葉月が口を開いた。


「私の好きな人、先生だもん」


えっ?!と驚く私を、
葉月はみんなそんな顔するんだよ、
だから嫌なのと
言わんばかりの目つきで
みてきた。


けれど私は、からかわない。


葉月は葉月なりに
恋してるんだし。


私は葉月に
好きな人に関する
情報をきいた。


彼の名前は田崎信也。年齢25歳。


葉月とは11の年の差。


好きなスポーツはバスケ。

だから葉月は、
彼の誕生日である9月10日に、
手作りの
バスケットボールチョコを
プレゼントするのだという。


葉月は、
自分の好きな人の事
話せて、なんか
気分よくなった☆と
るんるん気分で教室に戻った。


私も葉月の後について
教室に戻った。