「由香おはよー!!」


家に入ると葉月は
キッチンの片付けをしていた。


「私も手伝うよ」


私は葉月と一緒に
片付けをすることにした。


「よいしょ…あれ?」


集めたゴミを捨てようと
ゴミ袋の中を見ると、
そこにはまだ元気な花があった。


「葉月〜」


「うん?」


「この花捨てていいの?」


私はその花を持ち上げ
葉月にみせた。


「あ〜…いいの」


葉月は寂しそうに言った。


「どうして?まだ元気だよ?」


そう言う私に葉月は
俯いて言った。


「その花見ると…思い出しちゃうから…」


「なにを?」


「…お父さん」


「あ…」


葉月の家は2年前に
両親が離婚していた。


お父さんにつきたかったんだけど、
まだ18じゃなかったし、
自分の意見は
尊重されなかったから…と
葉月は淋しそうに言う。


葉月はお母さんとは
うまくいってないらしい。


「……………」


「…なっなんかしんみりさせちゃったね!ごめんごめん」


「いやそんな…あっじゃあ捨ててくるね」


「うん」

私は葉月が堪えている涙を
流させてあげる空間を
つくってあげた。


友達だから分かる。
あのコは今こんな気持ちだ、とか。


葉月は私の大事な友達。

失ったりとかはしたくない。


花を片手にマンションを出る。
そしてゴミ収集場に花を置く。


「あれ〜由香?早いね〜」


「ん…?あ、真琴と優奈♪」


そこには両手に袋を持つ真琴と
ウキウキ顔の優奈がいた。