智とは、真琴の幼なじみ。
彼は、悪い意味で有名だった。


なにで有名かというと、
『タラシ』で有名。


「やめとき!あんなの絶対あかんよ!」


真琴が訴えかけるように言った。


「え〜いい人だよ?」


優奈はそう言って、惚れたきっかけを話し始めた。


それは今から8分前にさかのぼる。


「ちょっ…ほんといいわ」


「いいからいいから!」


明らかに嫌がる優奈を
引っ張って無理やり
連れて行く葉月。


中庭に優奈を連れていく。


「ここ座っとくんだよ♪」


葉月は以前私と葉月が座った
木の椅子に優奈を座らせた。


「……」


面倒くさくなった優奈は
大人しく椅子に座った。


(どうせいい人なんているわけないし…)


優奈がそう思っていると


「よぉーし飛ばすぞーっ!!」


ボールを持った男子が
丁度優奈の前に来て
ボールを地面に置いた。


そして"おしっ!"と言いながらボールを力強く蹴った。


「………わあ…」


優奈はボールを蹴った男子に
一目惚れした。


それが智だったという。