机にひじをついて、
ボーっと考える私を、
隣の席の男子がつついた。


「なに?」


私は少し迷惑気味に、
その男子に聞いた。


「手紙、渡してって頼まれた」


そういうと男子は
右手に持っていた手紙を
私の手の上に置いた。


「誰からかな…」


手紙をよくみると、
端っこに小さく『葉月』と
書かれていた。


葉月は
中学生になってから
新たに出来た友だち。


授業中は
よく手紙交換などをしていた。


いつもは
私から手紙を書くのだが、
今回はめずらしく、
葉月から書いてきた。


私は手紙を開いた。内容は
『授業嫌だし〜』なんてゆう
ありきたりな内容だった。


私はてきとーに返事を書き、
隣の男子に『渡して』と
手紙を渡した。


男子は嫌がらずに
手紙を渡してくれた。


この男子の名前は山下祐希。


顔はまあまあだけど、
優しい性格で結構モテる。


けれど彼は1人が好きらしく、
彼女は作らない。


そうゆうトコロも
またいいんだよ、と
祐希のファンは言う。


この授業の間に、
葉月からの手紙の返事はなかった。


授業が終わると、
私は葉月と中庭に出た。


空は雲1つない青空で、
ところどころに
置かれた花壇には、
空を旅してきたのであろう蝶々が、
よく花のいいにおいを
嗅ぎにやってくる。


私たちは
近くにあった木の椅子に座った。


「由香ってさー、好きな人いるの?」


葉月が私に、聞いてきた。