「…行っちゃったね」


私は『ははっ』と笑った。


「見つかればいいけどね♪」


真琴はいかにも楽しみ♪
という顔をした。


「あっそうだ!ちょっと職員室ついてきてよ」


真琴が思い出したように言った。


「なんの用事?」


「携帯♪」


真琴はへへっと舌を出して言った。


真琴は2日前、学校に携帯を
持ってきていた事がばれ、
没収された。


没収した担任の先生からは

「2日後職員室に取りに来なさい」

と言われていたのだった。


私は真琴に付き合い、
職員室まで行く事にした。


ガラ


「失礼します…」


真琴は職員室に入るなり
「松岡先生〜…」と
学年主任の
松岡玲子先生の名前を呼んだ。


「はいはい」


声を聞いた先生は
入り口付近に立っている
私たちのところに駆けつける。


「はいは……あなたですか」


先生は真琴の顔をみたとたん
"はぁ"とため息をついた。


「携帯…返してください。もう2度と学校には持ってきません…」


呆れる先生に少し
ぎこちないが
反省の言葉を言う真琴。


先生はまたため息をつき、
ズボンのポケットから
真琴の携帯を取り出した。


「つぎ持ってきたら即処分ですからね」


先生はそう言うと
真琴の右手に携帯を握らせた。


「……はあい」


真琴は少し反省したようだった。