私、おかしい。


自分の名前を先輩に
言うだけのことで、
心臓が飛び出しそうなくらい
ドキドキしてる。


こんなんで告白…とか
出来るのかな…。


「これからだよ、由香」


葉月が私の方を
ガッチリと掴んで言った。


「そ、うだね…」


まださっきのドキドキが
少しだけ残っている私は、
言葉が
おかしくなりながらも返事をした。


「よしっ!私、メアド聞いてくる!」


「えっ…ちょっ真琴…」


真琴は1人教室へと
戻っていった。


「みにいこっ」


葉月が私と優奈に声をかける。


「いいね〜♪」


私はそう言い、葉月の後に
ついていった。


教室の外から窓を通して
教室の中をみる。


中では真琴が祐希を
追いかけていた。


「メアド教えてって言ってるやんかぁ〜!!」


「………」


『メアド』『メアド』と
繰り返す真琴を、
祐希はひたすら無視して
歩いていた。


真琴は負けず嫌いだ。
あきらめるはずもなく何度も
聞いていた。


5、6回は聞いたころ、祐希は
「わーったよ!」としぶしぶ
アドレスを教えたのだった。