教室に入れてもらってから
10分余りでチャイムが鳴った。


1授業50分の設定だから、
計算すると
40分近く廊下で
正座させられていた事がわかる。


正座でまだしびれている脚を
ゆっくり運びながら、
私たちは教室を出る。


「あーあ、あの社会のジジイのせいで脚痛い痛い」


葉月は階段を一段降りるたび

「いたっ」

と痛いアピールをしていた。


「そーこまで痛くないでしょ」


真琴がケラケラ笑う。


真琴は、正座には
慣れているらしく、40分も
正座をしていたのに、
これっぽっちも痛がらない。


「真琴は慣れてるからでしょ〜」


私は口をとがらせながら
階段を駆け下りた。

その時


ガツ


「えっ」


私は階段で脚を滑らせてしまった。


「由香っ…」


葉月が階段を一気に駆け下り
私を助けようとした。


が、


ドサッ


「ぉ…おい大丈夫か!?」


誰かが私を抱えてくれた。


私に話しかけるこの声…
どこかで聞いたことあるような…


半開きの目で上を見上げる。

その誰かとは…


「良かった〜生きてた…」


「み…港先輩…!?」