"やった!"

私たちは教室に入ろうとした。
が、辰巳先生に止められた。


「待て」


「はぁ?なに?」


「1人づつ反省の言葉を言いなさい。」


「はぁ?」


辰巳先生が決めた順番に
私たちはしぶしぶ並んだ。


葉月、私、真琴、優奈の順番で。


「じゃあまず、森野から」


「…」


時間がかかりながらも、
みんな
反省の言葉を言い、
教室に入れてもらえた。


勉強熱心な生徒が、
授業を中断させられた事を
恨んで私たちを睨む。


葉月は
知らん顔して席についた。


最後の優奈が教室に入ると、
先生は静かにドアをしめ
教卓に戻り、"ふぅ…"と
呆れたようなため息をついた後、

"では続きを"

と授業を再開した。


誰よりも強く力を入れて
文字を書くのは、
勉強熱心の生徒でもなく、葉月。


シャーペンをグーで握りしめ
ガリガリと机に穴が開くぐらいの
力で文字を書く。


葉月がいかに
機嫌が悪いかがわかる。


葉月のガリガリ音に
少し驚く真琴。