正座をしながら
愚痴をこぼしていると、
見回りの先生が
私たちのところに来て言った。


「おまえら、なにかしでかしたのか!?」


「…別に」


腕を組み顔をしかめて聞いてくる
見回りの先生に、
私たちはそっけない返事をした。


「なにかしでかした以外で、あの辰巳先生が廊下に正座させるわけないだろう!」


社会の先生の名は、辰巳俊悟。


去年どこからか
有名な私立中学から
来られた先生で、
第一印象はいかにも教育熱心な
先生という印象だった。


私立中学からうちみたいな
しょぼい公立中学に先生が
移動してくるなんて
めったにない事だから、
先生達はみな、
この辰巳俊悟とやらをひいきする。


私たちは見回りの先生の説教を
下唇を噛みながら聞いていた。


10分は続いただろうか。


長い説教が終わると、
見回りの先生は
職員室へと階段を降りていった。


「あいつ、説教好きだよな」


真琴が先生が降りていった階段を
歯をギリギリさせながら
見て言った。


"そろそろ入れてくんないかな"

濡れた服も乾いてきたところで
辰巳先生がドアを開けた。