「ちょっ…葉月早いし!痛い…」


「はやくはやく!!」


葉月はどこか
楽しんでいるような
様子をみせた。


10分…いや、20分は
走っただろうか。


葉月が私を連れてきたのは、
『ぷりっきゃ』とかいう
風俗店だった。


「………」


私はしばらく唖然とした。


妖しげに光る
『ぷりっきゃ』の文字。


ちかちかと
店を照らすピンク色の電球。


中から聞こえる
いやらしい声。


「……本当にここで岡野さんが働いてるの?」


「働いてるよ」


葉月がそう言った
次の瞬間


ガチャッ


「ありがとうございました〜」


お客様と思われる男性を
下着姿で見送る一人の女性。


しばらくすると、その女性は
私たちに気付いた。


「…なにしてんの?」


「…え…」


私は目を疑った。


その女性は間違いなく、
岡野さんだった。