その日の放課後、
誰もいない教室で
私は葉月に
岡野さんとの事を話した。


「そっか…」


少しうつむき加減で
葉月はそう言った。


そして、カーテンの
隙間からみえる、
キレイな夕日に目を向けた。


葉月の顔が、
夕焼けでキレイに光る。


「…あいつ、手ごわいけど…由香、頑張ってね」


「…うん…」


『あたしねぇ、2つの顔があるんだよ』


岡野さんの言葉が
フラッシュバックする。


岡野さんは多分…
いや、絶対…


私に勝つ気でいる。


「由香は、あいつのもう一つの顔、見たことないんだっけ」


「えっ」


葉月が『よっこいしょ』と
イスから立ち上がりながら
言った。


「うん、見たことない」


「じゃあさ、見に行こうよ。今から。」


「えっ今から!?」


「うん!!ほら、立って!!」


ガタッ


葉月は
イスに座っていた私の手を
無理やり引っ張った。