「え?別に?たまたま上野さんがそこに居たから」


『たまたま』…?


そういう風にはみえなかった。
なにか…
企んでいるようにみえた。


「…あのねぇ上野さん」


「えっなに?」




「私…大橋先輩が好きなんだぁ」




「えっ…」


岡野さん…
本当に先輩のこと……


好きだったんだ……


ビュウウウ…


「きゃっ」


突然の強い風で、
校庭の砂が舞い上がった。


「やだもぉ〜…じゃっ上野さん、私教室に戻るねっ」


岡野さんはスカートについた砂を
パンパンと手で払いながら
言った。


「待ってっ」


私は教室に戻ろうとする
岡野さんを引き止めた。


「何?」


「私もっ先輩が好きだから」


「…………」


岡野さんは
真面目な顔になって
私をみた。